リフォームとは違う!? 意外と知らない「リノベーションの定義」とは

不動産情報サイトやテレビなどで、「リノベーション物件」という言葉を聞いたことはないでしょうか? リフォームと混同されることも多く、物件により認識はさまざまな「リノベーション」。
リフォームとどう違うのか気になるところですが、国土交通省では「新築時の目論見とは違う次元に改修すること」をリノベーションの定義としています。

今回はこのリノベーションの定義について詳しくみていきましょう。

中古物件を改修し、需要価値を高める「リノベーション」

最新設備を備えたマンションや一戸建てでも、機能や性能が時代のニーズに合わなくなると、市場価値は下降します。集合住宅の畳の部屋、ユニットバス、キッチンの構成などがその例です。そのため、流行や人気に合わず、買い手と売り手の利益がマッチしないというケースが、近年増加傾向にあります。

リノベーションとは、そのような物件の外枠を建て替えずに、内装を新築時の空間性能以上に向上させ、市場価値を高めること。水・電気・ガスなどのライフラインや、構造躯体の性能を必要に応じて更新・改修させるほか、基礎の素材に耐震性を持たせたり、冷暖房費などのエネルギー節約のため断熱材を入れ替える、間取り変更などが挙げられます。

また、外壁の塗り替え、建具や窓枠の取り換えて、おしゃれでこだわりある物件に生まれ変わらせることもリノベーションに含まれます。「オシャレ」「こだわり」を実現したいというニーズに応える幅が広いのも、リノベーションの特長と言えます。カスタマイズメニューが豊富なため、注文住宅並みのこだわりが可能になるのです。

リノベーションの需要が増えている

既存の骨格を残し、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションは、中古マンションとの相性が良いのも特長です。中古マンションの中には、居住性・立地条件が良いにも関わらず、売れない物件も多くありますが、その理由の多くは「ニーズと合わない」という事でした。そこで、住む人のニーズに最大限にマッチさせる手段としてリノベーションが注目されているのです。

立地・築年数・老朽による改修の規模・要望の内装機能によってリノベーション・マンションの価格は変動しますが、中には「リノベーション・マンションは割高」というイメージを持つ人も少なくありません。しかし実際は、安価で短期間で円滑な改修を行う事例もあり、新築並のこだわりを最高のコストパフォーマンスとタイムロスで行うことも可能です。

中古マンションは戸数が多いため、都心で人気の路線でも気に入った物件が見つかる可能性が高いのもメリットです。通勤時間や周辺施設が充実していることにこだわる若い層からも注目されています。古い内壁や時代遅れの内装・間仕切りの見直しなどを行い、新築と遜色ないレベルに再生・新構築する「リノベーション」。築十数年くらいの比較的新しい中古マンションなら、間取りのトレンドはそれほど大きく変わっていないため、壁紙の張り替えや設備の更新だけでも、十分に現代のライフスタイルに合ったプランに再生できます。

リフォームよりも優れている点とは

リノベーションは「別次元への改修」であるのに対し、リフォームは「既存のカタチへの復元」です。異なる点として、リノベーションの方が、自由度とこだわりの実現度を叶える選択肢が大きく広がっている点が挙げられます。住まう人の趣向や人数はさまざまで、時代によっても変化するため、柔軟性あるリノベーションの人気が
高まっているのでしょう。

中には「中古マンションを自分でリフォームをしてコストを抑えたい」という人もいるかもしれません。しかし結論からいうと、高くつく場合がほとんどです。リノベーション事業者は、継続的に施工しているために部材や設備機器を大量に安く仕入れることができます。また、素材の比較情報や専門知識なども豊富です。しかし、自己リフォームの場合、素材の調達だけでなく、リフォームのノウハウや知識を得ることも必要になってきます。
その作業に割く時間もかなりのものになります。

また、時短のためのテクニックも、専門業者にはとてもかなわないといっていいでしょう。自己リフォームを短期間で何度も行った結果、かえって時間がかかり疲弊した、という話も珍しくないのです。自分で工務店やリフォーム会社に依頼する場合は、ほとんどオーダーメイドで作っていくため、手間もコストもかかり、結果として総額が膨らんでしまう可能性もあります。

その点、リノベーション物件は、中古マンションに比べれば手を加えた分だけ高くなりますが、自己リフォームに比べると、数百万円も総額を安く抑えられることが一般的なのです。

資金繰りしやすいリノベーション物件

リノベーション物件のメリットに、資金繰りがしやすいという点があります。自己リフォームの場合は、中古マンションの購入では住宅ローンを使えますが、リフォーム分については別途リフォームローンを組むか、自己資金で賄う必要があります。リノベーション物件は、改良した費用を含めた物件価格で取引する場合がほとんどなため、実質住宅ローンを組むだけで済むのです。

リノベーションと社会背景

2013年7月に「リノベーション住宅推進協議会」が発足。「リフォーム」と「リノベーション」の定義を明確にしようという動きが出てきました。中古空き物件の増加と需要停滞を緩和するためです。中古マンションは建築から10年過ぎただけで市場価値が下がり、さらに10年過ぎれば内装や設備が古くなるため、さらに売れづらくなります。空き部屋のまま待機される物件が多く存在する一方、新築の価格が高騰し、マイホームに投資する顧客が減少するという悪循環が起きていました。
新築需要が高まると、不必要な建て直しが促進されます。木の伐採や廃棄する建材の増加などで、環境問題の悪化も懸念されています。このような状況を打開する策として、リノベーションは注目されているのです。

 

参考:
一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会

http://www.renovation.or.jp/aboutus/index.html

ALL About/リノベーションとは
国土交通省/コンテンツ「リノベーション」
リノベーション住宅推進協議会/リノベーションとは